氷河期世代への支援や救済が急務 書籍「アラフォー・クライシス」書評

社会

今回は書籍「アラフォー・クライシス」(NHKクローズアップ現代+取材班 新潮社)の書評です。

本の概説

この本を一言でいうと

氷河期世代の非正規スパイラルがもたらす生活の危機

 

この本は、元々NHKで2017、2018年の二回に渡って放送されたNHKクローズアップ現代+「アラフォー・クライシス」を書籍化したものです。

 

「就職氷河期」に学校を卒業した世代(氷河期世代)は、他の世代よりも不遇な運命にあっているといいます。

 

就職氷河期では、有効求人倍率が1.0を下回っていた時代であり、就職にはとても苦労した世代です。

 

どこの会社も新卒一括採用をしており、そこで正社員になれず非正規社員となると、正社員になるのはものすごく難しいといいます。

 

正社員になれず、非正規社員としてずっと働いてきた氷河期世代が今40歳前後のアラフォーとなり、問題が深刻化しているといいます。

 

この本ではNHKの取材から、その様々な問題と、現在取り組んでいる取り組みを紹介しています。

 

仕事について

今の35歳~44歳については5年前と比べて、給与が下がっているという驚くべき結果が出たそうです。

 

氷河期世代は、非正規社員の割合が多く、また、新卒で非正規社員として働いた場合、正社員になるのは難しいといいます。

 

そしてそのような人達は、社内研修を受けなかった・あまり受けなかった割合が多いといいます。これは弱い立場であり、学ぶ機会も恵まれず、かつ専門的なスキルも他の世代より身についていない事が原因の1つではないかといいます。

 

今は、転職市場は空前の売り手市場ですが、非正規社員として働いてきた人達には関係ないといいます。それは年齢が上がれば上がる程、求められるスキルは上がっていくからです。今のアラフォー世代にはリーダー経験やマネジメント経験が求められているといいます。

 

しかし、非正規社員で働いてきた人達はそのような経験がないので就職のハードルは高くなってしまいます。

 

結婚について

氷河期世代は、他の世代よりも既婚率は低いといいます。

非正規で収入が不安定な為、なかなか結婚まで考える事ができない人達が多いといいます。

 

7040問題

7040問題とは、現在、親と同居している非正規の氷河期世代の人達が生活に困窮する問題に直面している(またはそのリスクがある)現状です。

 

20代の時に50代の親と同居した子供が自立しないまま40代に、親は70代になり、今までは親は会社で給与をもらっていたが、定年退職後、生活は年金だよりになっているといいます。

 

今まで会社の給与で支えてきた生活が、年金だけで支える事になり、かなり不安定な状態になっているといいます。

 

それだけでなく、まだ自立していない氷河期世代に親が介護の必要が出てきているといいます。

 

解決策

現在の働き方改革は、氷河期世代の現状から動きだしたものだといいます。しかし、これらは氷河期世代に向けた制度ではないといいます。

 

このように過ごしてきた人達は、自己肯定感が低い事が多いといいます。

 

1つのキーワードとして「希望を持てるか」があります。これは与えられるものではなく、自ら掴んでいくものだといいます。しかし、ずっと非正規で生きてきた人達にとっては簡単な事ではないといいます。

 

所感

私も氷河期世代です。就職活動ではかなりの数の企業からお断りされた記憶があります。

 

「産まれた年がずれていたら…」なんて何度も思いました。

 

私の場合は運良く就職できましたが、同じ大学で就職できなかった方もいました。

私も一歩間違えれば、同じ境遇にあっていたかもしれません。

 

この問題はまだ終わったわけではありません。次の氷河期が来ても同じ事にならないよう対策は必要だと感じました。

 

会社に入ればチームで仕事も出来るし、リーダー経験やマネジメント経験を積むチャンスもあると思います。

 

でも、正社員だけが選択肢ではありませんし、正社員でなくても楽しく生きていける社会が必要だと感じました。

 

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