心理学を元にした根拠あるリーダーシップ論 書籍「スタンフォード式 最高のリーダーシップ」

スキルアップ

今回は、書籍「スタンフォード式 最高のリーダーシップ」の書評です。

本の概説

この本をひとことで言うと

アサーティブ(アグレッシブでもなくパッシブでもなくバランスのとれた)リーダーシップが必要

この本は、ビジネスの現場においてリーダーシップのあるべき姿を、解説しています。

内容は、著者自身が研究している心理学を土台に、人間性心理学、臨床心理学、脳科学、心理学などいろんな学問が元になっているのが他のリーダーシップ本とは異なる点です。

現状におけるリーダーの問題

以下のようなリーダーの問題点がある

・強すぎるリーダー

・優秀な自分をみせる

・自分の利益を優先してしまう

これらの問題点の解決策として「アサーティブなリーダーシップ」が役に立つといいます。

アサーティブ・リーダーシップとは?

自分自身を尊重し、人を否定することなく、自分とチームの利益のために行動できるリーダーシップです

メンバーを率いるアグレッシブなリーダーシップでもなく、徹底的にサポートにまわるパッシブでもなく、バランス型のリーダーシップという位置付けになります。

本書に書いてある内容のうち、足りない部分だけを補っていくのが良いです。

4つのリーダーシップ

アサーティブ・リーダーシップは4つの構成からなります。

オーセンティック・リーダーシップ

これはリーダーにおける土台のようなものです。これ以外の3つのリーダーシップスキルの支えになります。

オーセンティックとは?

簡単にいうと、以下にあげるような、ありのままの自分でいることです。

・「弱さ」を認める

・「役割性格」を越える

・「人」と比べない

・自分の「生涯の大きな目的」を見つける

・「超・集中状態」になる

サーバント・リーダーシップ

サーバント・リーダーシップとは?

部下の能力を引き出し、背中を押すリーダーシップです。リーダー自らメンバーを引っぱっていくのではありません。リーダーは脇役であり、部下のサポートをしていく役です。

部下の成功=チームの成功=自分の成功

と考え、部下に挑戦させます。

その時、簡単すぎず難しすぎない仕事を設定します。これをZPDゾーン(チャレンジング エキサイティング)といいます。

このZPDゾーンのポイントとしては

・上司が少し手伝えば部下ができるようになること

・上司が教えれば部下ができるようになること

・部下がチャレンジしたがっていること

※書籍より引用

部下がチャレンジした結果、失敗もあれば成功もあるかと思います。その時のポイントとして

・成果は部下のもの

・悪い結果は上司が責任をとる

部下は新しいチャレンジをしやすいよう、このように上司がサポートするようにします。

トランスフォーマティブ・リーダーシップ

トランスフォーマティブとは?

変容させる事ができる能力の事です。

チームは現状維持ではなく、常に変化(成長)していくようリーダーシップをとる必要があります。

そのために、まずリーダーがすべき事は

まずリーダー自身が変わる事です。リーダーが変わってはじめてメンバーを変える準備ができます。

チームを変えるための4つの要素としては以下があります。

Individualized(個人に働きかける)

メンバーを「チーム全体」ではなく「一人の人間」として尊重する

Intellectual(知的に刺激する)

新たな課題に挑戦しリスクを取る

Inspirational(心を引きつける)

わかりやすく明確にビジョンを伝える

Idealized(理想のモデルとなる)

エシカルな行動で理想のロールモデルになる

※書籍引用

チームを変える為には、変容する事をメンバーに理解してもらう必要があります。

そのためにはメンバーと真摯に向き合い、メンバーの利益、そして会社や社会全体の利益につながる事(大きな目標)を伝えるのが良いといいます。

伝える時のポイントとしては、物語として語るストーリーテリングが有効だといいます。

クロスボーダー・リーダーシップ

人と人との間にある「壁」を越えて、違いを持つ人々がお互いの違いを尊重しながら働ける環境を作っていくリーダーシップです。

そのためにまずする事は、壁の存在を認めることです。

人々は、文化・慣習、行動様式、上下関係、世代や前例など様々な壁あり、価値観や考え方も違います。

自分の価値観や考え方に固執せず、まずはそれを認めます。

そして、それらの違いを尊重し、分かり合う事が重要だといいます。

時には壁を取り払い、時にはその壁を有効活用することが必要だといいます。

所感

リーダーシップのタイプとして、最近は強権を発動させるタイプではなく、サポート役にまわるタイプが主流となっているイメージがありますが、その間のバランスをとるのは斬新でした。

またらリーダーシップを4つの要素にわけている点は体系的であり、理解しやすいと感じました。

本書の4つのリーダーシップのうち、「自分に足りない要素はなにか?」という観点で読み進めると、自然と実践すべき事が見えてくると思います。

コメント