今回は「決断と判断(中竹 竜二)」の書評です。
本の概要
2019年5月時点、kindle unlimitedで読み放題になっています。※時期によっては、読み放題が終了する場合があります。
kindle unlimited については、こちらを参照してください。
この本をひとことで言うと
「判断と決断の積み重ねが組織やチームを作っていく」
みなさんは決断と判断の違いを意識した事はあるでしょうか。
著者の中竹 竜二さんは、こう言っています。※著者による定義です。
「判断」とは過去について評価すること。
「決断」とは未来への方向性を打ち出すこと。
No38より引用
英語で表現するとより理解しやすくなります。
判断はJudgment、決断はdecision
No45より引用
決断のプロセスとしてはこうです。
1、過去の結果やデータをいろんな視点で評価(判断)する。
2、未来はどうなりたいか。決断には目的が必要になる。決して何を決断するか、に着目してはいけない。
3、できれば未来をイメージした時にワクワクできる決断が良い。
4、1~3を元に決断する。
この本では、決断と判断の違いから、判断や決断の仕方、そして決断の方法を著者自身の体験から解説しています。
組織に属している社会人の方に読んでもらいたい本です。その中でも特に、現場でリーダーをしている方に。
著者紹介
以下に経歴を抜粋します。
中竹竜二(なかたけ りゅうじ)
1973年福岡県生まれ。早稲田大学人間科学部に入学し、ラグビー蹴球部に所属。
そして
2006年に三協フロンテア(株)に入社し、早稲田大学ラグビー蹴球部監督就任。
2010年4月より、(財)日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターに就任(現職)
※No2299より引用
この経歴からわかる通り、ラグビーでご活躍されている方です。本の内容もラグビーに関するエピソードが多数書かれています。
ラグビーに必要な、判断力や決断力は社会人にも応用可能かと思います。
参考になったポイント
私的な視点で参考になったポイントを3つ抜粋します。
決断するために、ゴールを起点にして現在を振り返る
本書での判断は現在から過去を振り返る事で、過去に起きている事ははっきり見えている事が多いです。しかし、未来についてはぼんやりしています。それはまだ起きてない事だからです。
では、未来を決断する時になるべくはっきり見る為に、ゴールを達成したときを具体的にイメージし、そこから過去を判断します。
これは目標設定などでは馴染みがあると思います。目標から逆算すれば、今やるべき事が見えてくると思います。
よい決断をするために、スタイルを重視する
最終的な決断は、その人らしさ(組織らしさ)、つまりスタイルで決断するのがよいといいます。「一貫性」や「こだわり」や「個性」ともいいます。
例を以下に抜粋します。
スタートダッシュ型か。追い上げ型か。率先して引っ張り出しいくのか。後方から支援するのか。すべて合議制か。強いリーダーに従うのか。
※No1402より引用
決断力を上げる為に、振り返りをし、経験を重ねる
過去に決断した内容について、「もう一回同じチャンスがあったら」どうするかを振り返る事で擬似的な決断の経験をし、次につなげていく。
そうやって経験を積み重ねていき、人や組織が強くなっていくといいます。
所感
判断と決断について、本書の定義に若干の違和感があったので調べてみました。
判断とは
1 物事の真偽・善悪などを見極め、それについて自分の考えを定めること。「適切な判断を下す」「なかなか判断がつかない」「君の判断にまかせる」「状況を判断する」
※コトバンクより引用
決断とは
1 意志をはっきりと決定すること。「決断を迫られる」「転職を決断する」
2 正邪善悪を判断・裁決すること。※コトバンクより引用
結果、概ね同じような意味かなと思いました。むしろ辞書の方が曖昧な表現にも見えます。
私は今まで、「判断」と「決断」を区別して使っていませんでした。おそらく無意識にこれらを使っていました。本書では明確に区別し、それぞれの意味を示している所が勉強になりました。
「判断」はトラブル対応や過去に築き上げた仕事をやる上では必要なスキルであると感じます。※もちろんその仕事の中で小さな「決断」があるはずです。
「決断」は未知の事や未来の事についての仕事をやる上で必要だと感じます。
また、未来の事なので自分やチームの行動によって実現するか、しないかが決まります。つまり、決めるだけではなく実現するまでが決断だと理解しました。
そして、「決断」には必ず「判断」が必要です。これらの言葉を意識して区別して使い分けしていくのが、決断のスキルを上げる第一歩だと思います。
今後は「判断」と「決断」を意識して使い分けしていこうと思います。
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