書籍「働き方2.0vs4.0不条理な会社人生から自由になれる」

経営・経済

今回は「働き方2.0 vs 4.0 不条理な会社人生から自由になれる」の書評です。

本の概説

この本をひとことで言うと

「日本型の雇用習慣という常識を取り払い、知識や人脈を武器に生き抜く術を身につけよう」

本書は、働き方の現状を解説し、今後はどのような働き方をすべきかを提案しています。

アメリカなどの他国については先を行く働き方と比べ、日本の年功序列、終身雇用のようなひと昔前の雇用習慣は、日本企業にどのような影響を与えているか解説しています。そしてそのような環境で、私たちはどのような働き方をしていくべきか提案しています。

 

働き方の定義

まず初めに、本書における働き方の定義を紹介します。

働き方1.0   年功序列・終身雇用の日本的雇用慣行

働き方2.0   成果主義に基づいたグローバルスタンダード

働き方3.0   プロジェクト単位でスペシャリストが離合集散するシリコンバレー型

働き方4.0   フリーエージェント(ギグエコノミー)

働き方5.0   機械がすべての仕事を行うユートピア/ディストピア

※書籍より引用

現在日本は、働き方1.0から2.0に移行しようとしている段階です。しかし、世界を見ると、働き方3.0から4.0へ移行しようとしている段階です。

 

日本は世界からみてかなり出遅れているといいます。

 

世界の雇用慣行

ご存知の方も多いとは思いますが、アメリカの雇用は完全な成果主義、結果主義です。

例えば、ネットフリックすの人事戦略の基本は以下3つにまとめられています。

1 優れた人材の採用と従業員の解雇は、主にマネージャーの責任である

2 すべての職務にまずまずの人材ではなく、最適な人材を採用する

3 どんなに優れた人材でも、会社が必要とする職務にスキルが合っていないと判断すれば、進んで解雇する

※書籍より引用

このように、採用についてはその時に合った最高の人材を獲得しようとしているのがわかります。

 

また、たとえ優れた人材を採用したとしても、その時のネットフリックスが求めている事と優れた人材のスキルにズレが出てきた場合は、進んで解雇をするといいます。

 

それは会社だけでなく従業員の為でもあるといいます。なぜかというと、優れた人材なのに、その力を発揮できないような職場では会社の為にも本人の為にも不利益だからです。

それよりも、もっと発揮できる環境に移ってもらったほうが良いという考え方です。

日本ではなかなか解雇できないので、デキる人材が発揮できていない事が容易に想像できます。

 

日本の雇用慣行

一方、日本の雇用慣習というとまだまだ年功序列や終身雇用社会です。

安倍政権では働き方2.0に移行しようとしていますが、そこには日本特有の昔からの戸籍制度が壁となっているといいます。

日本の戸籍制度は今の時代に合っていないといいます。戸籍制度は、家単位でいろんな設計がされています。

 

例えば年金や健康保険も戸籍単位になっています。扶養されている専業主婦は働きたくても第三号被保険者の資格を失わない為に労働時間が制限されています。また、その制度があるので安く労働力を使おうとしている事業者もいるようです。

 

また、日本だと国籍差別や年齢差別を普通にしています。定年制度はその典型です。また、求人にも年齢について記載されているものもあります。アメリカでは差別にあたる情報は伏せて採用活動をするそうです。

履歴書には年齢や写真(人種がわからないように)などの差別にあたる情報は載せないといいます。

国籍差別の例だと、日本企業が海外に進出した際、日本本社と海外支社(現地採用)で給料に差をつけるといいます。これは日本企業だけらしく、他のグローバル企業だと、差はつけないそうです。

だから、日本企業から海外のグローバル企業への流出がひどいといいます。

 

これからの時代に生き延びる方法

これからの時代は、以下の3つのような変化があると予想しています。

変化1 社会やビジネスがいっそうインターネット化する

個人の働き方は、多くのひとや会社と対等(フラット)な関係でつながり(リンク)、知識や成果を分け合う(シェア)ようになる。

変化2 これから仕事で活躍できるのは、プロフェッショナルだけになる

自分が何者であるか、なにができてなにができないかを、自分の責任で「プロフェス(公言)し、相手がそれを評価し、信頼してくれる「プロ」になれば、「どこでも誰とでも」働くことができるようになる。

変化3 会社と個人の関係が根底から変わる

ずっと学び、ずっと働きながら、自分の趣味をまっとうする。しかも変化する時代のなかで、常に自分も変化しつづけることが求められるようになる。

※書籍より引用

これらの変化に対応するためのキーワードは「ギブ」です。

具体的には「知識や人脈を共有すること」だといいます。

ここでのポイントは、「与えても減らないもの」です。減ってしまうものだと自分自身が与えられる限界もあります

 

日本だと定年退職後のギブするものがなくなる人がいるそうです。

現役時代では、ギブするものが会社にあったが、退職するとそれはなくなります。

 

個人としてギブすることで、生き抜くための人脈が広がっていくといいます。

 

所感

日本は世界と比べて雇用慣行が違うとは認識していましたが、ここまでとは思いませんでした。

そして改めて「個人」としての価値を高めていくべきだと実感しました。

 

私が思ったのは、現在会社勤めの方の何割かは定年退職後に生き抜くのに苦労するのではないか思います。

 

そして「個人」として人脈やスキルを高めていける人がこの先も生き残っていくのだと思います。

 

これらは、会社の資産が使えるうちに準備しておくべきではないでしょうか。

 

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