今回は書籍「FACTFULNESS(ハンス・ロスリング著)」の書評です。
本の概説
この本をひとことで言うと
「データ(ファクト)を知り、正しい判断をする為の10の方法」
ここでクイズです。
世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう?
A 約2倍になった
B あまり変わっていない
C 半分になった
世界の人々にこれらのクイズを答えてもらったそうです。
その結果、なんと正解率は33%以下だったそうです。つまり何も考えずに選択した確率よりも低かったことになります。(本書ではチンパンジーと比較しています)
更に、一般の人よりも専門家であればあるほど、正解率が低いという驚くべき結果が出たといいます。
ちなみに答えは「C」です。
これらのクイズに間違えるのは、過去やイメージからの思い込みがあるからだといいます。
本書では、このような思い込みを10の分類に分け、事例をまじえて紹介しています。そしてそのような思い込みをせず、データ(ファクト)をもとに世界を正しく見る方法を解説しています。
10の思い込みは以下となります。
分断本能「世界は分断されている」という思い込み
ネガティブ本能「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
直線本能「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
恐怖本能 危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み
過大視本能「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
パターン化本能「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
宿命本能「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
単純化本能「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
焦り本能「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
※書籍より引用
これらのなぜこのような思い込みをしてしまうのか、そしてそのような思い込みをしない為には?これらの解決策に共通することは、データ(ファクト)を見ることです。
データ(ファクト)をしっかり認識し、思い込みをなくすことが重要です。
1つ抜粋しますと、人は良いニュースよりもテロや災害、事件など悪いニュースの方が圧倒的に耳に入りやすいといいます。たとえよくなったとしても、そのことを知る術がないといいます。
このような結果、世界は以前よりも悪くなっているというイメージを持ってしまうそうです。
これを「ネガティブ本能」といいます。
このような思い込みを防ぐためには、「良い出来事はニュースになりにくい」「ゆっくりとした進歩はニュースになりにくい」「悪いニュースが増えても、悪い出来事が増えたとは限らない」ことをおさえておきましょう。
著者は医者として世界を渡り歩き、そしてその活動から学んだことを書いています。実体験を元にしているのでとてもリアリティがあります。
本書を読めば、それを追体験することができます。そして、読み終わったころには10の思い込みとその対処法を学ぶことができると思います。
所感
本ブログで紹介したクイズは全部で13問あります。どのくらい正解できたか試してみると面白いと思います。
そして、思ったより自分は世界を知らないことを痛感させられました。それと同時に正しい世界を知ることができ、読んでよかったと実感しています。
本書の思い込みを乗り越える方法を抑えつつ、正しい判断をするために世界を理解する努力が必要だと思います。この本も2019年時点では最新の情報ですが、年々古い知識になっていきます。
なので、自分の持っている知識は都度アップデートする必要があると思いました。
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